NEWS

ウイザーフォール・インタビュー和訳文を公開します!

UPP-tone music イングリッシュサイト掲載中のウイザーフォール・インタビュー和訳文を公開します!!
インタビューアはGlenn Williamsさんです。
ウイザーフォール・インタビュー
ジェイク・ドレイヤー、ジョセフ・マイケル
2021年3月10日
Q: ご機嫌いかがですか。
MJ: 素晴らしいよ。コロナ以外はね。
JD: 本当、2021年はあまり良い年ではないけれど、とりあえずアルバムを出したから、明日死んだとして俺たちの伝説は生き続けるだろうね。
Q: 前回のインタビューは2年前で、確か『Vintage』EPのリリース直前でしたよね。
JD: そうだね。
Q: アレックスがちょうどバンドに加わって。
JD: ワオ、もうずいぶん前のことのようだけど。
Q: 新しいラインナップでライヴがやれないのもフラストレーションが溜まることでしょう。
JM: まったくツアーをやれないよ!
JD: (笑)
JM: アダムが死んでファースト・アルバムのツアーはやれなくて、『Prelude to Sorrow』の時は、ソナタ・アークティカ以外、誰も一緒にツアーをしてくれなかったし。そしてコロナだからね。
JD: で、またこれだからね。『Curse of Autumn』では2月と3月にエヴァーグレイとツアーをするはずだったのだけど、つまり今だね。エヴァーグレイの新譜も好調で、どちらのバンドにとってもアルバムをプロモートするパーフェクトなタイミングだったのだけど、10月、11月に延期になってしまった。これもやれるかわからないけどね。また呪いだよ。
JM: ドイツのアマゾンで彼らのアルバムが2位、俺らが4位になっていたよ。これをツアーでさらにプッシュできていたらね。ドイツをツアーできていたら、彼らは簡単に1位になったんじゃないかな。
JD: だけど、どうしようもないよ。全曲ビデオを作ろうとは思っているんだけど、話題を切らさないために。ライヴ・ショウの話もあったけれど、俺たちはライヴ・ストリーミングはやりたくないんだ。
Q: 個人的には正しい決断だと思います。ストリーミングを見るように何度も誘われて6本ほど見ましたが、私はダメでした。
JD: キッスの大ファンだから、キッスのは見た。大晦日の。ジーンやポールを見ながら「何で俺たちはここにいるんだろう?」なんて思って。ポールが「ハロー、みんな!」なんて言ってるけど、そこには誰もいやしない。俺たちはやりたくないし、多くのバンドがこんなものに投資する必要はないと思い始めてるんじゃないかな。
Q: 日本に来たら、ニューアルバムと前回のアルバム、2回の別々のセットをやれますね。
JD: 3回やれるんじゃないかな。その頃には次のアルバムも出てるかもしれないから。
JM: 4回やろう!
Q: 『Curse of Autumn』のレビューはいかがですか。
JM: いくつかとても興味深いものを読んだよ。
JD: 今君が書いたものを読んでいるよ。ボストンの曲のフルバージョンも聴いてくれたのか。それは素晴らしい。
Q: まず思ったのは、『Prelude to Sorrow』のような主題無しに、あれと同じレベルの作品を作ることができるのだろうかということ。でもあなたたちはやり遂げました。
JD: ありがとう。
JM: 俺の父親についての曲みたいなセンチメンタルなものもあるけれど、全体的には怒りに満ちたレコードになっているよ。
Q: あなたたちがアルバムの「光と影」と呼ぶものをどうやって作り上げたのか興味があります。曲が始まり、終わっていく感じがある。これは、最近のプロダクションに欠けているものです。あなたたちの曲には雰囲気があるというか。
JD: それが俺たちが再び達成したかったゴールの1つさ。俺たちは最近のメタル・バンドよりも、70年代のバンドに影響を受けているから。当時のレコードを聴いてみると、プロダクションにしても曲にしても、聴くものを旅に連れて行ってくれる。さまざまな色や影が使われていてね。最近のヘヴィメタルのプロダクションのように単色ではない。45分間ずっと同じ曲みたいなね。クイーンみたいにさまざまなストーリーを伝えはしない。俺たちはクイーンみたいになりたいんだ。レコードをかけるとまるでジェットコースターのようさ。
Q: どうやって曲を書くのですか。
JM: 純粋な作曲さ。とてもオーガニックな。なるべく全体を通して書くようにしているよ。断片をつなげるのではなく。ジェイクがヴァースとなるリフを書いて、そこから俺が何かを思いつきそうだと、集まってそれを書き上げていく。「転調はどうなる?」「これはどう展開するだろう?」「これは2番かサビ前にピッタリだ」とか。そこまで来れば、俺たちはお互いをよく知っているから、どうなっていくかはっきりとわかる。とてもシンプルなことさ。
JD: そうだね。俺たちは「5年前に書いたこの曲からリフをパクってここに配置して」なんていうことはやらない。どの曲も独特で、すべてのパートがまとまっている必要がある。「And It All Blew Away」みたいな曲をどうやって書くのか聞かれることも多いけれど、あれは決してランダムではないんだ。すべてのパートがあの曲のために書かれ、考えれば考えるほどうまくいった。フィットするものを作ろうとしたとか、うまくいくものを作ろうとしたというようには聞こえない。曲の書き方自体には意味がないんだ。
Q: 古き良きやり方ですね。
JM: その通りさ!
JD: そうだね、そんな感じさ!
Q: クイーンを挙げていましたが、『Brighton Rock』や『Bohemian Rhapsody』はもちろんそうやって書かれたのでしょう。
JD: そう、ジョセフと俺はそうやって曲を書く。ジョセフは、これはレノンとマッカートニーがやっていたことみたいだと言っていたよ。同じ部屋にいて、エネルギーを爆発させて。エキサイティングなことがあれば、その火花を散らす。しっくりこなければ、それ以上は探求しない。それがその場でわかるんだ。とてもオーガニックで、ファイル・シェアで「これを使ってくれ」なんていうやり方はしないよ。唯一やるのは、思いついたリフを後ろで猫が叫んでいる中テープレコーダーに吹き込んで、ジョセフに送って、彼が「これはいいね、一緒にこれをやろう」と言う時くらいさ。
JM: シンガーのアナロジーも使おう。メロディを書いて歌うシンガーもいれば、ただアイデアだけがあって、あとは他のメンバーに任せるものもいる。俺たちはそういうことはしない。どんな楽器でも関係ないんだ。作曲者がいて、彼らのフレーズやリフがあって、それが曲になっていく。一方、実際に音楽を作曲するものたちもいる。俺たちはこちらさ。頭でまず考えて、最終的にどんなトーンになるかはわからない。まず音楽が頭にあって、それを紙に書きつけたり、俺やジェイクにアイデアがあって、だけどそれがどうなるかはわからない時は、ただPro-Toolsにとりあえず入れておく。忘れないようにね。またあとで聞き返すんだ。
JD: 俺たちのデモを聞けば…
JM: (笑)
JD: …俺たちのデモはジョセフと俺しか理解できない言語なんだ。デモですらない。基本的にただの音符さ。
JM:古いスコアみたいなもので、加線なんてロクに読めない。今オーケストラやCDで聴けるクラシックの曲は、作曲家の頭にあったものとは少々違うんじゃないかな。あんなぐちゃぐちゃのスコアを読めるやつなんていないだろう?それで色々な解釈が生まれて、それは限定された定義じゃない。イタリア語の用語とかすべてね。
Q: 最近日本のクラシックの雑誌で議論したのですが、そこで私が問うたのは、ロックのミュージシャンが何について歌っているかはわかりますが、クラシックの作曲家が何を言おうとしたかは本当にわかるものなのでしょうか。
JD: 彼らには彼らのバージョンの死と悲しみがあったんだよ。モーツァルトは子供の頃、父親にツアーをさせられ、ほとんど死にかけた。ベートーヴェンの曲にはたくさんの苦痛が感じられる。俺の意見では、もっとも暗い音楽の一つで、だから俺はベートーヴェンが大好きなんだ。ロマン派も好きだよ。ショパンにも多くの苦痛が感じられる。彼は梅毒で死んだから、多くの苦痛を経験しただろうからね。
JM: あれはおそらく狂気だよ。いくつかのコードは「何じゃこりゃ」という感じだろ。
JD: そう、ときどき本当に美しいし、「ワオ」と思うこともある。ショパンは自分の作品に「雨だれ」とかのタイトルをつけているし、感情を表出していたのだろう。
JM: ベートーヴェンもやっていたよ。
JD: そう、「月光ソナタ」とかね。
Q: その議論で色々知りましたよ。バッハは地元の教会のために毎週作品を書いて、一度演奏すると焼いてしまい、二度と演奏できないようにしていたそうです。一体どれほどの素晴らしい作品が失われたのでしょう。
JD: それは初めて聞いた。すごい話だね。
JM: それは当時普通のことだったんだよ。書きつけてあると、盗まれるかもしれないから。出版権なんてなかったから、「これを1000部コピーして、売り上げの20%を俺にくれ」なんて言うことができた。ただ盗んでコピーして、リビングで演奏したりとか何でもできたから。
Q: ウィザーフォールの話に戻りましょう。新メンバーが加入しましたね。
JD: そうだね、『Nocturnes and Requiems』からアンソニー・クローフォードが加わっていたけど、今回マルコ・ミンネマンが入った。彼は凄い!有名なドラマーだし、このアルバムでのプレイも素晴らしい。これは頭の痛い話だったのだけど、『Prelude to Sorrow』からゲルゲ・ボーライにプレイしてもらうはずだったんだ。彼も素晴らしいからね。ところがコロナが始まって、彼はスペインから出られなくなってしまった。それで思いついたのがマルコだった。ジョセフがメールしたら、彼はThe Aristocratsのツアーでドイツにいて。
JM: 実は彼もスペインとイタリアにいたのだけど、出国が間に合ってドイツにいたんだ。彼にも参加してもらえない可能性もあったのさ。
JD: そうなったら最悪だったね。マルコはスタジオでも素晴らしくて、一緒にいて楽しかったし。クラシックの話をしたり、インストの曲をやっている時に、これはショパンやベートーヴェン、リストから影響を受けたと言ったら、「そのあたりは俺のお気に入りの作曲家だよ。君の考えていることはわかる」と言っていたことを覚えている。ある晩レコーディングの後、15分でワインを3本あけたよ(笑)。
Q: 私もいつかご一緒したいです。
JM: 楽しい夜だったな。マルコは話が面白いんだ。
JD: そう、マルコのロックンロール話は最高だよ。レコーディング中、「And They All Blew Away」のインストのセクションを録った時が一番のお気に入りかな。何度も拍子やテンポが変わるから、ジョセフと俺は「どのくらい時間がかかるかな」なんて言っていたら、マルコはファースト・テイクで決めてしまった。
JM: あれはどうかしてたよ。
JD: そう、それで彼は「ノーノーノー、もう7バージョンくらい録ろうか」って。
JM: 彼の鼓動は11/8なんじゃないかな。俺は「ノー」だと言ったんだ。それでエンジニアのブラッドに「どうだった?パンチがあったか?」って聞いたらイエスだと。それなら仕方ない。レコードの1/4を占める大曲のあのパートに必要なのはパンチだからね。最難関のセクションが彼にとっては簡単なんだから。
JD: 作曲者としてアンソニーやマルコみたいな奴らと一緒にやれるのは最高だよ。頭に浮かんだことをそのまま言えばいいのだから。ヴィジョンを伝えれば、彼らは理解し、消化し、欲した通りのバージョンにしてくれる。他の人たちもやってきたけれど、凄い奴らとやるのは楽しいし、そうでない奴とやるのは退屈なものさ。この事実を克服するにはワインを3本飲む必要があるよ。
Q: そんなに自分を卑下しないでください。あなたの演奏も素晴らしいです。
JD: まあ(プロデューサーの)シャファーも時々そんな気分にさせてくれるけどね(笑)。彼はコーチ役で、俺たちのパートを可能な限り良くプレイできるようにしてくれた。俺たちのポテンシャルをわかっていたのさ。俺たちのベストを引き出すまで、やらせ続けるのさ。
Q: あなたたちのカバーの選曲は意外です。『Prelude to Sorrow』ではトム・ペティとハロウィンがボーナストラックでした。『Curse of Autumn』ではボストンを2曲やっていますね。
JM: トム・ショルツのことは子供の頃知っていたんだ。彼は俺の祖父の店で芝刈り機を買っていたんだよ。トムとジョー・ボナマッサの父親はギターショップをやっていて、俺が行くとギターを割引してくれた。俺は地元のギターを弾く子供で、とても良くしてくれた。トム・ショルツのラボも見たければ、かなりイカしてたな。それはともかく、あの曲をカバーしようとしていて、キルスイッチ・エンゲージがディオの「Holy Diver」をカバーした時みたいに、ヘヴィなメタルにしようかとも思ったのだけど、何しろハッピーな曲だから、うまくいかなかったんだ。プログレっぽい要素もあるし、速弾きもあるし、ヴォーカルのハーモニーも楽しいものだから。それでこの曲を諦めて他の何曲かも試したのだけど、いまいちピンと来なかった。トム・ペティは、ジェイクと俺の家で「Shadows」を書いている時に、ジェイクが「I won’t Back Down」を普通にプレイし始めて、俺もそれに合わせて歌い始めた。それで「ちょっと遅くしてみたらどうだろう?」と思ってね。ボストンの「Long Time」も同じようにやってみたんだ。少し悲しい感じにしたけれど、メロディ自体はまったく変えていないよ。ジェイクが「もっと暗くするにはコードをどうすればいいだろう?」と言って、もちろん関係短調にすれば良い訳だからね。それで彼が弾き始めて、そうしたらそれが正しい方向性だった。まさにこれだという感じで、それから彼は本当に生かしたナインス・コードのアルペジオのシーケンスを書いて、それで出来上がり。ヴォーカルのことも考えてそうしたんだ。とにかく悲しい歌詞だから、うまくハマったよ。奇妙な話があって、ニューヨークの北部に戻った時に、トム・ショルツがたまたまガソリンスタンドにいたことがあった。「オーマイゴッド!トム、こんにちは」という感じでね。彼は俺の祖父のことを尋ね、俺は「いつライヴをやるのですか?」と尋ねた。数ヶ月間そこに滞在する予定だったからね。すると彼は「知らないのか?」って。それでブラッドが自殺をしたことを知らされて、自分のバカさ加減に呆れたよ。そんなこと知らなくて、だけど歌詞を読むと、それはまさに死のうとしているブラッドのことを参照した、エモーショナルな中身を伝えるものだったのだから。そこから出発したんだ。
JD: そう、それからジョセフが言ったように、俺たちは殆どその曲を放棄しようとしていたけれど、最終的なやり方は、すぐ目先にあったんだ。トム・ペティの曲でやったのと同じ方法だったのだから。
JM: トム・ペティの曲で奇妙だったのは、ハーモニー的にとても曖昧だから、ジェイクは三度の音を省略したことさ。
JD: そうなんだよ。
Q: そろそろ時間が無くなってきましたが、アートワークが素晴らしいですね。一貫性もあるし。
JD: 自分たちのヴィジョンを保持したいからね。ウィザーフォール・シリーズの4枚の絵画だよ。
Q: そう、それにあなたのロゴは読めますし。
JM: (笑)
JD: そうさ!それがデザイナーのアンソニー・クラークソンに一番に伝えたこと。きちんと読めるものにする必要があるってね。
Q: ありがとうございました。次回ぜひ日本でお会いしたいですね。
JD: ありがとう。素晴らしいレビューも。
JM: ありがとう。また次回。
2021.4.26

UPP-tone music
株式会社

〒102-0081 東京都千代田区四番町7 新和ビル3階
TEL 03-6261-6390 / FAX 03-6261-6391
music@upp-tone.com

facebook twitter


UPP tone music · All Rights Reserved